成功願望や嫉妬とは無縁…ベストセラー編集者の超独特思考
コンプレックスをバネにする。第2回【箕輪厚介さん】
■きらめく才能たちに対しても「嫉妬」はない。
嫉妬という感情も基本的に持ったことがない。確かに佐渡島庸平、宇野常寛、落合陽一らに会うと、つくづく「俺はこっち側の人間じゃないな」と思わされます。佐渡島さんみたいな、あれだけ小説が好きで、小説とは何たるかを語る人間を前にすると、「自分は文学を突き詰める方向ではないな」と気づかされるわけです。ただ、それは、「負けた」とか「悔しい」という感情とは別物。
要は「ゴレンジャー」なんですよ。黄色があって、赤があって、ピンクがあって。で、その中間の色の存在なんていらない。佐渡島さんたちが赤だとするとぼくは薄い赤じゃなくて、黄色なりピンクなり、別の色になろうと。第一線の別のフィールドで「箕輪君にこれお願いしようよ」と必要とされる人間になろうと思っています。
編集者としての自分の役割は、読書少年・少女から、本の権威を冒涜していると思われてでも、ある種のファッションムーブメントを作ること。もちろん売れなくてもすごく価値があるもの、分かりにくいけど心に残るものを作ることの価値も分かります。だからこそ、宇野さんのように時間をかけていいものを作っている人と組むことに意味があると思っています。ぼくは『デジタルネイチャー』は作れないけど、『日本再興戦略』は作れるわけで。
難しいー分かりやすい、狭いー広い、本質ー最先端…そんな違いでしょうか。そこで本質的な人に会うと「俺とは違うな」とは思います。でもそれはコンプレックスとは違いますね。ただその人の存在によって、自分の進むべき道が明確になる。